塗装業者さんに電話した私は、いつ創業したのか聞いてみると、私が高校生だった時には、すでに創業されていた。
家の外壁塗装が始まる日の朝、私は駐車場の掃除をした。
隣の家の人、「お出かけするの?」
隣の家の人にそう聞かれたのは、珍しくメイクをしたから。
私、「今日から外壁塗装が始まるので、ご迷惑をおかけします」
隣の家の人、「あっそうだったわね」
駐車場の掃除を終え家に入ると、トラックが止まった音がした。
私は玄関の鏡でメイクを確認してから外に出ると、家の前に塗装業者のトラックがあった。
そのトラックから出て来たのは、身長174センチほどのヤセ型の男性。
その男性はマスクをしているため、顔は分からない。
私、「宜しくお願いします」
男性、「こちらこそ。車はここに停めておいて良いですか?」
「駐車場に入れてくれて構いません」と答えたのは、家から出て来た私の旦那。
旦那が出て来たら、女の私は出番がない。
挨拶を終えた旦那が家に戻って来ると
旦那、「あの人、地元の人だって」
私、「なんて言う名前だって?」
旦那、「名前は聞いてない」
私、「何歳だって?」
旦那、「歳なんて聞いてないよ」
家の中から見えるのは、ガラス窓の前を通る一瞬だけ。
男性は手袋をはめているため、結婚指輪をしているかどうかは分からない。
昼になったためお茶をお出ししたのだが、身長174センチほどのヤセ型の男性だけ、食事に出掛けていなかった。
オヤツの時間になったため、珈琲をお出ししたのだが、手袋をはめているため結婚指輪の有無は分からない。
夕方、「失礼します」と声が聞こえたため、お見送りに行くと、身長174センチほどのヤセ型の男性の顔を見ることができショックだった。
なぜなら、高校生の時に付き合っていた彼が、風の噂で塗装会社で働いていると聞いていたから。
ガラス窓の前を通る一瞬だけでも、トキメクことができ良かった。こんな気持ち、何年ぶりだろう。